
いつも殿に御馳走になっている僕達だが、
年に一度だけその感謝を込めて殿にお返しとしてご馳走をする。
その日だけは殿を後輩芸人に見立てて食事をする。
殿にひとしきり美味しい料理を食べさせながら、
芸のダメ出しごっこをし、
帰りにこれタクシー代だと小遣いを包む。
殿はありがとうございますと頭を下げタクシーに乗り込み帰っていく。
こんなやり取りをもう何年しているだろうか。
ある日殿の家にお邪魔した時ふと神棚を見ると、
僕達の渡した小遣の袋が渡したままの姿でずらっと並んで供えられていた。
それを見て涙が溢れた。
僕達は一生この殿に付いていこうと思う。
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