自分のことだけ考える

堀江貴文 いいため話
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強硬な政治家から「鉄の女」と呼ばれ、1979年から90年までイギリスで首相を務めたマーガレット・サッチャーは、こんな名言を残している。

「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人は金持ちにならない」

サッチャーが首相になった当時のイギリスは、行きすぎた福祉政策や労働争議、基幹産業の国有化などによって、経済が活力を失い、イギリス病と言われる不況に悩まされていた。

そこでサッチャーは、それまでの福祉優先の政策や政府による過剰規制を廃し、経済を活性化しようと試みた。

しかし、サッチャーが推し進めようとしていた改革は、左派から「金持ち優遇策」として批判され、それでサッチャーは先の言葉を述べて、自らの正当性を訴えたのだ。

そもそも、金持ちが金持ちになれたのは、基本的には「お金を稼ぐ能力をもっていた」から、と言える。

貧乏人が金持ちになるためには、お金を稼ぐ能力を身につけなければならない。

ところが、多くの人は、能力のある人の足を引っ張ることで満足して、それでおしまい。

それでは到底、生産的とは思えないが、なぜそんなことをするかというと、「嫉妬(しっと)」と呼ばれるものがそうさせているのだ。

「嫉妬」というのは厄介なもので、自分では気づかないうちに芽生えてくる。

例えば、数年前にAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』という楽曲が流行した。

このとき、企業や自治体による「踊ってみた」動画が多数公開され話題になったが、あまりにも流行っていると、「何だよ、ただの真似じゃないか」なんて冷めた見方をする人も多くいた。

ただ、それって結局は「流行しているものに対する嫉妬」からきているのではと思うのだ。

何かが流行したときには、「何だよ!」などと思わずに、「どうしてこんなに流行っているのか?」と考えるべきだ。

『恋するフォーチュンクッキー』が大流行したのは、秋元康さんの確固たる思いがあったからだとう思う。

楽曲が発表された当初、AKBのメンバーは、メロディに不満があったそうだ。

ところが、秋元さんは、リリース前から「絶対に流行る」「ファンの皆はもちろん、多くの人が踊ってくれる曲になる」と語っていたという。

秋元さんのアイデアは、わざと振りつけを盆踊り並に簡単にして、誰でも踊れるようにした点にあったと思えてならない。

簡単にできそうであれば「自分たちでも踊ってみよう」という人たちは現れるもの。

今は、ソーシャルメディアが発達しているから、すぐ拡散できるのだ。

実際、秋元さんの思惑通りになったし、AKBのメンバーたちも楽曲が好きになっていったとあとから聞いた。

だから、やっぱり秋元さんはすごい!

とはいえ、何かが流行しているときに、斜(しゃ)に構える人は、結構多い。

ユーチューバーが流行り始めたときだって、世間の大人たちの反応は「子ども向けばっかりだし、大して面白くないじゃん」というものが多かった。

そうは言っても、ユーチューバーが流行っているのは事実だし、中には莫大なお金を稼いでいる人もいる。

「何だよ!」なんて言って斜に構えていると、自分のほうが立場が上になったように錯覚するから、気はラクになるかもしれない。

でも、それで得することなんて何もないのだ。

僕の場合は、『恋するフォーチュンクッキー』が流行ったときに、秋元さんサイドからオファーがあり、自分でも踊ってみて、「面白いな」と感じた。

ユーチューバーのブームがおきたときも、ユーチューバーの代表格であるHIKAKINくんとすぐ会って、仕事をした。

斜に構えた段階で、その人はもう「負け」。

自分にできないことをやっている人を見て、嫉妬したら「負け」。

何事も学びのチャンスだと思い、自分に取り入れられることを見つけたほうがいい。

人の成功に嫉妬することの無意味さを、肝に銘じてほしい。

『自分のことだけ考える』ポプラ新書