90秒にかけた男

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ジャパネットたかた いいため話
画像:http://www.tsuhanshinbun.com

伝えるという意味で参考になるのは、室町時代に世阿弥の著した「風姿花伝」です。

「風姿花伝」は650年前の単なる能の古典ではありません。

現代人につながる言葉、ヒントが詰まっています。

人間の本質とか、人間の考えというのはいつの時代も、何百、何千年の時空を超えて通じるものがあり、それを一冊の文献として世阿弥が残したものです。

世阿弥は何も世間一般に発信するためにメッセージを残したのではありません。

能という芸術が100年以上続くよう、彼がその人生をかけて得た蘊奥(=奥義)を後世に残したのです。

舞う人がどう舞えば、人に伝わるか、能にはどういう役割があるかなどが書かれています。

それが現代の我々に普遍的なメッセージとして強く響いてくるのです。

同書で私が最も共感した教えは、人間は自己を更新し続ける努力を惜しむべきではないという一点です。

何が大事かと言えば、謙虚さや真面目さです。

「風姿花伝」には「時分の花(じぶんのはな)」と「まことの花」という言葉が出てきます。

時分の花とは、若い人が持つ若さゆえの鮮やかで魅力的な花のことですが、盛りが過ぎると散ってしまいます。

これに対し、まことの花とは日々の鍛錬と精進によって初めて咲く花を指します。

人間は修業によって本当の花になって感動を与えられるようになるのです。

世阿弥はこの二つの花を間違うなと言っている。

若い時分に脚光を浴びることを自分の本当の実力だと慢心するなかれというわけです。

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90秒にかけた男

ジャパネットたかた創業者 髙田 明 著

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