
個人で、自分だけよければええと思っている場合と、個人を超えて家族を大事にしよう、家族をよくしようとした場合には、自分だけじゃなしに、家族という視野に見方が拡がるのです。
そしてさらに、家族だけやなしに会社を、会社の従業員も大事にしてあげようとなると、視野がそこにまで拡がります。
つまり利他が拡がっていけば、見る眼が、視野が拡がっていきます。
自分だけ儲かればええと言っていますと、ほんとうに狭い視野で物事を見てしまう。
結果としてつまずいたり、先が見えなくなったりします。
自分の会社だけが儲かればええという「我利我利亡者」の人がやっているのは、危なっかしくて見ていられません。
あの人、あそこで“けつまずくな”と見えるのです。
しかし本人は見えていないのです。
うまくいくと思ってやっているからです。
一方で、利他という眼が開いてきますと、視野が拡がってきます。
だから多くの人たちを救ってあげるような、そういう愛の心というものを持った経営者の方がやっていることは、安心して見ていられます。
つまり、心のありようによって人生観は変わりますし、同時に運命も変わってきますし、また見る眼が変わってくる。
先見性、先を見る眼が備わってくる。
「つまずいたりするのでは」と感じる予知能力が出てくるようになるのです。
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心と生き方
稲盛和夫 述
京セラコミュニケーションシステム 編
PHP研究所
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