【栗城史多】苦しみとの向き合い方

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画像:http://business.nikkeibp.co.jp/

私は山登りを通して、苦しみには3つの特徴があることに気づきました。

1つは、「苦しみと闘おうとすればするほど、その苦しみは大きくなっていく」。

もう1つは、「苦しみから逃げても、どこまでも追ってくる」ということです。

人間の身体器官の中で、酸素の使用量が一番多いのが脳だといわれています。

そのため、苦しい時に焦ったり、熱(いき)り立ったりすると、脳がどんどん酸素を消費してしまいます。

7500メートル以上の世界では、少ない酸素をいかに無駄なく取り入れるかが大切なので、体力的に、精神的に本当に苦しい時に、あえてそこで「ありがとう」と言いながら登るんです。

そうやって苦しみを受け入れると、不思議と心が落ち着いてきて、無駄な酸素を使わずに山を登ることができるんです。

そして特徴の3つ目は、「苦しみは必ず喜びに変わる」ということ。

例えば、高尾山のような低い山は簡単に登れてしまうので、登頂してもあまり感動は沸いてきません。

しかし、8000メートル峰を登頂した時は、それまでの苦しみが大きい分、得られる達成感も半端じゃない。

苦しみの分だけ、喜びがある。

だから、苦しみは決して悪いものじゃないと考えています。

信条としてきたことはいろいろとありますが、まず「一歩を踏み出す」こと。

そして「諦めない」ということが、私の生きる姿勢かもしれません。

山登りでは1歩を踏み出さないと頂上にはいけません。

登山に限らず、地上のいろいろなチャレンジにおいても、「できる」「できない」と考える前に、まずはやってみることが大切だと思うんです。

私がエベレストを登頂できずに下山して帰ってくると、周りからは「失敗した」って言われるんです。

でもそれはちょっと違います。

成功の反対は失敗ではなく、本当の失敗とは「何もしないこと」です。

私は山登りを通して、挑戦し続けていく先に必ずや登頂や成功があるのだと確信しています。

だからこそ、諦めないことの大切さを伝えていきたいと思っています。

“終わりなき頂上への挑戦”より

引用:栗城史多 氏
『プロフェッショナルへの道』致知出版社