西郷どん式 リーダーの流儀

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西郷隆盛 いいため話
画像:Naverまとめ

明治維新後の1872年頃の出来事でした。

司法省で働く島本仲道という土佐藩出身の男がいました。

面識はありませんでしたが、西郷に対して思うところがあったようで、西郷に直接罵倒の言葉を投げかけます。

それも人々が見ている前で。

「西郷・・・西郷といって、世間では、あんたのことを人間以上の人間のように言っているが、私にはまったく意味がわからない。

同志の者がみな牢獄に入れられて辛酸を嘗めているのに、あんただけは一人で道を闊歩し、『維新の元勲』だとか言われて、肩で風を切って歩いている。

なんという人情のない人であるか。

私の目から見れば、虫けら同然じゃ!」

聞いていた周囲の人々は凍りついたそうです。

西郷が何を言い出すか?どんな罰を申しつけるのか?いくら西郷でもこの言われようになんと答えるのか?みんなハラハラしていました。

しかし西郷は、黙ったまま、一言も返しません。

恐ろしいことに島本は、そんな西郷をさらに挑発します。

「どうだ、あんた。一言も弁解できまい」

それでも、西郷は黙ったままでした。

島本は、手ごたえが感じられず結局そのまま去っていきます。

翌日になって、西郷の崇拝者たちが、西郷の家に押しかけてきます。

「島本は生かしてはおかない」「ああいうヤツを司法省に置いておくわけにはいかない」と、やいのやいの。

そこで西郷は、ハッと島本の顔と名前が一致したようで、次のように言いました。

「はぁ・・・、あの人が司法省の島本さんでしたか。偉い人じゃ・・・。島本さんのような人が司法省におられるのなら、私も安心です」

気勢をあげていた人々も、黙ってしまいました。

その後、西郷さんがこのように言っていたと島本にも伝わります。

島本は「これは・・・、だいぶ人間のケタが違っている」と、西郷の器の大きさに恐れ入ったそうです。

むしろ、彼も西郷のファンになってしまったのです。

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西郷どん式 リーダーの流儀

吉田幸弘 著

扶桑社